古くて新しい組茶 KUMICHA

2019年01月12日

編集長M @DELI&BAR1899

最近、サードウェーブコーヒーの影響か、日本茶でも「シングルオリジン」という言葉を目にすることが増えています。

特定産地の特定品種の特徴に合わせて製造された茶葉を、一杯一杯、適切なお茶の淹れ方で香りや個性を愉しむというものです。

作り手のメッセージがお茶を通して伝わってくる、とても嬉しい飲み方です。

では、「ブレンド」=混ぜ物?

ということではなく、「シングルオリジン」と対比ではありません。

1899のアドバイザーでもある狭山の雄、宮野園 宮野圭司さんに話を伺いました。

「シングルオリジン」は、よくワインで言う所の「シャトー」や「ドメーヌ」に例えられることがありますが、

生産者がワインの瓶詰まで行うワインと、茶葉の生産と製造工程、淹れるという行為が別のお茶は厳密には異なります。そういう意味では最近流通しているボトルティーはワインに近いかもしれません。

ワインも保管やサーブの方法によって味わいが異なりますが、お茶は、製造工程や淹れるという行為によって別物のようになります。    

「シングルオリジン」=美味しい訳ではないのですね。

「シングルオリジン」に価値は勿論ありますが、「ブレンド」が相対的に価値が低い行為なのか?というと決して、そうではありません。

そもそも「合組」という言葉がお茶業界には古くからあって、

それは茶匠、茶師の技術であり、個性なのです。

かつては、街や地域に茶屋が多くあり、その茶屋の数だけ味わいや香りに個性があり、顧客は好みに合わせその個性を愉しんでいました。

茶匠、茶師 は五感と経験をフルに活かし、様々な産地、品種、時々の出来具合などを見極めて特性や特徴を引き立たせるように配合します。

時代は「個の時代、個の消費」=カスタマイズになった今だからこそ、飲む人の好みや気分、体験などで各々に組み合わせて提供するということがあって良いんじゃないかと思う。その方が愉しい。

宮野さんたちは、それを「組茶 KUMICHA」と呼んで、イベントなどでお客さんとコミュニケーションを楽しみながら、お茶をカスタムして提供しています。

フレーバーも否定はしないけれども、「組茶 KUMICHA」は、茶葉通しの特徴や特性の組合せ、エッセンスとして生姜や胡麻などの自然の素材、特に和の素材を加えたい、更に季節によって焙じるなどのひと手間でアクセントを演出するのもよい。

抹茶なども現在では宇治、一辺倒ではなく、愛知産などはコストパフォーマンスがとても高いなど茶葉も個性豊かになっているからこそ、愉しみ方は拡がっています。  

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 「組茶 KUMICHA」 

組曲 suite のようにとても美しい響きです。

お客様と対話しながら、お客様の気分でお茶をカスタマイズする。

「おもてなし」の原点のような話。

1899でこれを出来たら、今様に気軽に簡単に、更にセルフカスタマイズも出来たら、どんなに素敵なことかと思いを馳せながら帰路に着きました。 


「世界に一つだけの花」

 まげない自分、こだわる自分、負けない自分と色々個性はありますが、自分は一つではないです。変わりゆく、移ろいゆく環境によって、負けそうな自分、嫌な自分、嫌いな自分もあります。自分はブレンドです。「世界に一つだけの花(シングルオリジン)」である為に「ゆるやかな時間」で自分をリセット、時間をセルフカスタマズしないといけませんね。

P.S. 帰路、ブルっとする寒空で、宮野さんの組茶に焙じる要素を入れてもいいね、という話を聞いていたら、急にほうじ茶が飲みたくなって、1899の六煎茶を焙じてみた。

「おお、茶香炉のようないい香り!」

10分後、「う~ん、なかなか色が変わらない、、、あ、焦げた・・・」

「おもてなし」の道は遥か。志だけでは足りず、知識と教養、そして技術が大切と思い知った瞬間でした。

了